□この場所で会いましょう□ 公式掲示板より Kitty さんのお話 PSOが与えてくれたもの・・ ◇この場所で会いましょう…1 私と彼女が出会ったのは3ヶ月程前まで遡ります。 私が、オンラインプレイを初チャレンジした時の事でした。 期待と不安で胸がいっぱいだったなぁ。 で、どうしていいものか判らなかったから、 取りあえず一緒に冒険してくれる人を探してうろうろしていたんですね。 でも全然居なくて…。 途方に暮れていた時声を掛けてくれたのがSEPIAだったんです。 「誰か探しているの?」って。 うろうろしていた時に、同じ場所にずっと立っている人がいるなぁとは思ってた んですけどね(笑) けど私に声を掛けてくれているなんて思わなくて、 思わず 「え?私に言ってくれてるんですか?」 って聞き返しちゃいました。 で、「違います。オン初めてで一緒に冒険に行ってくれる人いないんです」 って言ったら、 「そうなんですか。私で良ければ一緒に行きますよ」 って言葉が返ってきて…。あの時は涙がでるくらい嬉しかったなぁ。 当然二つ返事でお願いしました。 その後簡単に自己紹介した後、 話し合った結果VH洞窟に行く事になりました。 あ、自己紹介って言ってもリアルじゃなくキャラです。 当たり前ですけどね(笑) それで洞窟に行っていざ戦闘になったら…。 彼女すごく上手なんですよ。本当にビックリするくらい! 私が下手だっていうのもあるだろうけど、それ以上に動きがどう見ても 上級者なんです。敵を弱らせておいて、私のキャラでも一撃で倒せる ようにしてくれていたり、回復とかサポートもすごくって。 実は私、戦闘の前まで彼女も初心者だと思っていたんですよね。 だから、あの場所に孤独にずっと立っていたんだろうなぁと。 でも実際は違っていて、かなりハイレベル。その上優しい。 その時すでに彼女のファンになってたのかもしれないなぁって思います。 ちょっと話が逸れちゃいましたね。 尋ねてみると結構初期の頃からやっているとの事。上手いわけだぁ。 で、洞窟を進む内にスペシャルウェポンを幾つか拾い、デロルを倒して 無事終了しました。 その間に、戦い方こうしたら楽になるよとか、 初心者の人にあったら出来るだけこうしてあげてねとか 色々教わりながらの4時間半の大冒険。 すごくすご〜く楽しかったです! 帰還後、洞窟で拾ったフォトンクローやステイト/メンテナンスや マテリアルは私が持つ担当だったので分配しましょうって言ったら、 「うんうん。全部貰っていいよ。」って。 ……。 確かに見た事もないアイテムで欲しいのも事実。 けど色々教わった上にアイテムまで貰うなんて納得できなかったから、 「そんな事できないよ〜」と言ったら、 「貰って下さい。私、今日の冒険すごく楽しかった。 だからね、楽しい冒険にしてくれたお礼。」 そう言いました。 楽しかったのは私のほう。初心者なのに優しく、 そして丁寧に教えてくれたSEPIAにお礼をしたいのは私のほうなのに…。 その後色々と話し合い、結局アイテムは全て貰う事になりました。 SEPIAが貰うって言ってくれないんだもん…。 でも私がこの冒険で得たのは、 レアなアイテムなんかじゃなかったと思う。 アイテムなんかとは比較にならない価値のあるものを私は手に入れたんだから。 言わなくてもわかるでしょう?わかりません? それはね。友達。それも最高の。 ◇この場所で会いましょう…2 その後、彼女が友達を紹介してくれて一緒に冒険に連れていってくれたり、 チャットをしたりする内に 私と彼女はとても親しくなりました。 PSOだけでなく、メールのやりとりもするようになったんですよ。 メールの内容から、彼女が同じ女性だという事や年齢が近い事等も判り、 すごく仲が良くなって。 で、ネットだけの友達じゃなくリアルでも友達になりたいと思って、 私から電話番号をメールに書いたんです。 ネットで誰かに電話番号を教えるなんて初めてでした。 電話番号を教えて色々とトラブルを招いた話とか聞くじゃないですか。 実は男性だったとか(笑) 自分でもその辺は慎重なほうなんですけど、 彼女の事は本当に信用していたのでメールに書いたんですよ。 そしたら、夜中に電話が鳴って誰かな?って思ったらSEPIAからで…。 すごく嬉しかったです! ちなみに会話の内容は言えませんけどね。色々、そう色々です。 で、この時以前からずっと疑問に思っていた事を質問する事にしました。 どうしてあの場所にいつもいるのか。 どうしていつも同じキャラクターセピアなのか…という事についてです。 違いますね。前に1度聞いてみたんですけど、 その時は今みたいに仲良くなる前だったから話して貰えませんでした。 だって誰とも待ち合わせもしていないのに、何故あの場所にこだわるのか って不思議に思いませんか? 私はすごく不思議に思ったんですよ。どうしてなのかなぁって。 で、思いきって質問しました。 すると、 「知っての通り、紫の服に銀色の髪といういでたちのHunweal。 それがラグオルでの私の分身なの。 そして初めて作ったキャラクターなんだ。 他にも3人程キャラクターはいる事はいるんだけど、 その子達はオフライン専門。 オンラインではこの子しか使っていないの。」と答えてくれました。 話しを聞いても私には彼女の言っている言葉の意図がわからなかったので、 「うん?」ってすごく間抜けな声で答えたの覚えてます(笑) 彼女は続けてこう言いました。 「ある人を待っているの。来るかもしれないし来ないかもしれない。」 私はまるで謎掛けのような答えに戸惑いを隠せなかった。 どういう意味なんだろ?考えてもわからなかったんです。 そして全てを話してくれました。 SEPIAは初めてのオンラインの時、あるヒューマーにあったそうです。 その人はとても親切な人で、SEPIAが初心者だと言うと1から10まで、 笑いを交えながらとても丁寧に教えてくれたそうです。 時間的には8時間くらいだったって言っていました。 私はその場に居合わせていなかったから、詳しくはわかりません。 でも、本当に楽しかったんだろうなぁって想像出来ました。 その事を話す時の電話越しの口調がすごく明るかったから。 私まで嬉しくなるくらいだったもん。 そこでふとある疑問が浮かびました。 ギルドカードでメールなり送ればいいのに?って。 名案?と思いすぐさま聞いてみました。 「ギルドカードないの…。カード交換しませんかって言ったんだけど、 その人は偶然をすごく大切に思ってるんだって。 例えば私とこうして出会えて、今話しをしているのも偶然。 だから、今度もし偶然再会したらその時こそカード交換しようって。 素敵な偶然がある事を期待して遊ぶ、 そういう遊び方をする人が居てもいいじゃないかって。 でね、その人別れ際にこう言ったの。 今度偶然会えたとしたらこの場所で会えるといいね。 って。その場所が私のいつも居る場所…。 そしてね、SEPIAじゃなくちゃいけないの。 会った時のあのキャラSEPIAじゃないとダメなの。 じゃなきゃ気づいてもらえない…。」 そして私は聞いてみた。 「その人の事が好きなの?」と。 彼女は答える。 「わからない。その人が男か女かもわからないし…。 相手の人も私が女だって知らないんだもん。 ただね、きっとお礼がいいたいんだと思う。 PSOを好きになったのは紛れも無くその人のおかげだから。 ありがとうって言いたいだけなんだと思う。 そしてね、出来る事ならもう一度一緒に冒険したい。 その人がキャラをかえていたら永遠にわからないんだけど…。 SEPIAってキャラだけは覚えていてくれているかもしれない、 だからあの場所にSEPIAはいるの。」 そうだったんだ…。知らなかった。 あの場所に居る事の意味を。彼女の想いを。 私とSEPIAはこのお話以降更に仲良くなりました。 ずっと友達で居られたらいいな、そう思ったんです。 ◇この場所で会いましょう…3 私達の仲は更に深まりました。 周りからは「あぶない」と言われる程(笑) それから幾ばくか月日が経ったある日。 毎日のように来ていたSEPIAがあまり現れなくなったんです。 何かあったのかな?と心配になった私は電話してみました。 「何かあったの?」 「うんうん。なんでもないよ」 と彼女は言います。でも…。 なんか元気なさそうでした。 あまり追求するのもどうかと思い元気出してねって言った後 電話を切りました。 それから9日後の事です。 私のメールアドレスに1通のメールが来ていたんです。 え〜と誰からかなと思い差出人を見るとSEPIAから。 嬉々として私はメールを読みました。 ほどなく読み終え、そして涙が溢れてきました。 内容は、SEPIAが病気で入院する事になったから、当分 PSOだけでなくメールや電話もできないというものです。 そして入院の日付は受信した当日と書かれ…。 私はすぐさま電話を掛けました。 でも、虚しくお決まりのアナウンスが流れるんです。 何度掛けても…。 私は彼女に励ましの言葉1つ掛けてない、どうしてどうして 話してくれなかったんだろうと思いました。 文面の最後に、 「心配いらないよ。すぐに元気になって戻るからv」 と書かれています。 彼女に何もしてあげらない自分が腹立たしく感じました。 無性にやるせなく、悲しくなったんです。 でも、SEPIAは元気になって戻る…そう書いているんだもん。 かつて、SEPIAがそうしたように私もあの場所で待とう。 そして、どうして話してくれなかったのかって怒ってやろう。 そう決めました。 SEPIAの姿がこの場所から消え1ヶ月が経ちます。 今の私と同じ気持ちでSEPIAは、 あの人を待ちつづけたのでしょうか。 それは、わかりません。 でも、SEPIAと再会したいという私の気持ちは負けてなどいないはず。 これだけは譲れません。 彼女に再び会う事で証明したい。言ってあげたい。 初心者の私に多くの事を教えてくれた貴方に。 人との出会いを誰よりも大切に考えている貴方に。 かけがえのない友達の貴方に。 PSOを好きになれたのは貴方のおかげだよ。 そういってあげたい。伝えたい。 だからずっと待ってるよ。ずっと本当ずっとだよ。 SEPIA元気になって戻ってきてよ。 そして、あの人と会ってやろうよ。言ってやろうよ。 PSOのこのいつもの場所でさ。 2人で口をそろえて言ってやろうよ。 「偶然♪またこの場所でお会いしましたね」 ◇この場所で会いましょう…4 この場所で彼女を待ちつづけて2ヶ月が経とうとしています。 その間、沢山の人と知り合い友達も出来ました。 友達の中でもSEPIAはとりわけ特別な存在です。 かけがえのない存在です。 PSOを始め4ヶ月が経ちます。 初めてのオンライン、その時知り合ったのがSEPIAでした。 無知な私に優しく丁寧に様々な事を教えてくれた彼女。 友達になれたらいいな、そう思いました。 やがてお互い女性という事も手伝ってすぐに親しくなれました。 仲良くなれた時は本当に嬉しかったなぁ… その後PSOで会うたび雑談したりするうちに、 ゲームだけに留まらず、リアルでも友達になれました。 彼女がどう思っているかはわかりません。 けど私は親友だと思っています。 かけがえのない友達なんです。 だから、ずっと待ち続ける事にしました。 彼女がいつもいたこの場所で待とうと思ったんです。 そうしたかったんです。 シップのこの場所で待っている間、SEPIAの携帯番号を教えて貰って いた私は何度かリアルで電話も掛けていました。 でも、彼女に繋がる事はありません。 「留守番電話サービスセンターへ接続します」 お決まりのアナウンスが流れるだけ…。 待ち続けて2ヶ月。音信不通があまりに長いので不安になったある日 また電話を掛けてみる事にしました。 例え繋がらなくても、元気になって欲しいっていう想いだけは 伝わるかもしれない、そう思いました。 けど実際はそうする事で気が紛れると思ったんです。 携帯電話を手に取りメモリーから、彼女の番号を呼び出します。 そして彼女へ電話を掛けます。 ……。 「はい」 携帯電話から女の人の声がしました。 え?え?返答がある…嬉しいよ〜… 嬉しさで思考が口が完全に止まってしまいます。 「SEPIA私Kittyだよ!」 慌てて私はそう言います。すると…。 「SEPIAの母です」と返答がありました。 …え?SEPIAのお家では携帯電話を本人が取る事が出来ない 時は家族が取ったりするの? きっと仲がいいんだよね、そう思いました。 でも、この時私の中で嫌な考えが浮かんでいたんです。 でもそんな考えを打ち消したくて、すぐさま聞きます。 「SEPIAさんいますか?」と。 SEPIAのお母さんは少し間を置いたあとこう言いました。 「娘は…亡くなったんですよ」 時間が止まった気がしました。肌寒さを感じました。 口の中が急激に渇くのを感じました。 目の前が真っ暗になりました。 嘘だよ。つい最近まで一緒に話をしたじゃない。 SEPIA、元気になって戻ってくるって言ったじゃない。 あの人に想いを伝えるんでしょう? こんなの嘘だよね? そこで私の思考は完全に止まりました。 SEPIAのお母さんとの会話の内容はよく覚えていません。 自分が何を言っていたのかさえ、よく覚えていません。 でも、SEPIAのお母さんから彼女のお家の住所を聞いていました。 彼女が死んだなんて私には信じられない。 けど、もし…もし事実なら、焼香をあげたい。 週末、私は飛行機で彼女の住む地に来ていました。 行く場所はたった1つ、彼女のお家。 初めて来た場所で土地感がなかったので、 タクシーを拾い彼女のお家へと向かいました。 しばらくし、やがて彼女のお家に到着します。 私は一度深呼吸をし気持ちの整理をした後呼び鈴を鳴らしました。 そして彼女のお母さんが出てきて、 家の中に案内され本当に彼女が亡くなったんだと思い知らされたんです。 SEPIAがある病気で入退院を繰り返していた事。 そんな外に出歩くのもままならない状態の彼女が、 唯一楽しそうにやっていたもの。 それがゲームであり、PSOだったそうです。 話を聞くうちに彼女がどんな気持ちでPSOをやっていたのか すこしだけ判った気がしました。 思うに外に出歩けず、誰か訪問者がなければ 家族以外の人にも出会えない。 私がそういう状況だったら寂しいだろうな、悲しいだろうな… でもオンラインゲームであるPSOだったら、お家の中でも誰かに会える 話だって出来る、友達も作れる。病気だって関係ない。 だからSEPIAはPSOに頻繁にいたんだ…。 あの人との出会いをくれた、人の優しさに触れさせてくれた そんなPSOに彼女が込めた想いは如何ほどのものだったろうか。 想像も出来ませんでした。 私は彼女の何を知っていたのだろう、仏壇の前で彼女のお母さん の話を聞きながらそう思いました。 彼女の話を聞かせて貰った後、お墓に案内してもらいました。 私が強く希望したからです。 私は自分のVMを持ってきていました。 意味のない事だとわかっています。 でも、そうしたかったんです。 ほどなくご両親に案内されお墓の前につきました。 ご両親はそんな私の様子を見つめていましたが、 やがて席を外されました。 きっと気をきかせてくれたのだと思います。 花を添え彼女の墓前で暫く無言で手を合わせた後。 バックからVMを取り出します。 そして心の中で言います。 ほら、私Kittyだよ。SEPIAに会いに来たんだよ。 「うう…」 そして私は泣き崩れてしまいました。 ねえSEPIA。 あの場所では会えなかったけど、この場所で会えたよね。 私達この場所で会えたんだよ。 ずっと友達だよ。 大好きなSEPIA。 ありがとう。 <SQR's ENTERTAINMENT> さんより引用しています。